通訳ガイド緩和へ

訪日外国人旅行客を案内する通訳案内士について観光庁は13日、有識者会議を開き、国家資格がないと有償でのガイドが認められない現行制度の規制緩和を議論したという。今年度中の改正法案提出を目指すとのこと。政府の規制改革会議は5月に「多様化する訪日客のニーズに対応できていない」として業務独占の見直しを答申したが、悪質ガイドの被害も報告される中、日本観光のイメージにも直結する「民間外交官」の質をどう担保するかが問われるという。
通訳案内士制度は1949年、外国人に外国語で観光案内をする国家資格制度として創設。法律では通訳案内士でなければ有償ガイドが禁じられているそうだ。ただ2015年の試験合格率は19.3%と狭き門。観光庁によると、現在は約1万9000人が登録しているそうだが、ガイド職に就かない場合も多く、4分の3は稼働していないとのこと。
加えて「4分の3は都市部」「使用言語は3分の2が英語」という2つの偏在があり、政府はアジアを中心とする訪日客の急増に対応できないとして制度見直しに着手。5月19日の規制改革会議の答申では「業務独占を維持したままでは、質と量の両面で対応できない」と明記された。答申を受けて観光庁は、業務独占の代わりに国家資格者だけが資格を名乗れる「名称独占」による質の確保を図るが、ハードルは残ったままだという。
政府は15年9月から構造改革特区として、札幌市など全国6区域で自治体の研修を条件に有償ガイドを認めるなどの対応を進めてきた。その一方で、訪日客を高値のみやげ物店に案内するといった悪質ガイドの被害も絶えないそうだ。13日の有識者会議では「資格の外国語表記は」「個人客が安全なガイドを選べるのか」などの意見が相次いだという。
1999年に業務独占を廃止した韓国では、虚偽の説明をするなどの無資格ガイドが横行し、2009年の再見直しで有資格者の添乗を義務付けたそうだ。東洋大学の島川崇教授は「単なる数合わせにとらわれず、訪日客の利益にかなう制度設計を考える必要がある」と指摘しているという。
悪質なガイドの被害が増えて日本のイメージが悪くならないよう、対策が必要だ。